「世の中に完璧な人間など存在しない」
周知の事実ですが、僕たちはついつい完璧主義を目指してしまいがちです。
完璧主義はすばらしいことではありますが、
行き過ぎると行動を制限するブレーキになってしまうことがあります。
またこの考え方は「短所」を否定することを助長します。
短所も含めてその人に与えられたギフトであるにもかかわらず、
それを悪いものであると無理矢理矯正しようとします。
嫌なこと苦手なことをやっているときほどエネルギーが消耗することはありません。
精神的にも苦しくなってしまいます。
人はできない自分に直面したとき、自分のことを責めてしまいます。
そして自己否定を繰り返すと自信を失います。
僕は現状肯定が正しいとは思いませんが、
自己肯定はすべての人間にとって必要なことだと考えています。
人生の無駄な時間を減らす役割
おそらくですが、人間以外で長所と短所の個体差がここまで大きい動物はいないと思われます。
同じ「ニンゲン」という生き物なのになぜここまで個体差があるのか?
それは人間という生物そして自分にとって必要なものだからです。
自分の感情は人生のナビゲーションシステムです。
ネガティブな感情を感じるのであれば、
それは自分の進むべき道ではないと教えてくれているということです。
逆にポジティブな感情を感じるときは、
それがこの人生における自分の役割であるということです。
したがって、短所を矯正することに時間と労力をかけるということは、
人生の貴重な時間を無駄にしてしまっているということになります。
その時間を好きなことや得意なことに投資すれば、
より多くの人々の役に立つことができるわけです。
その「人々の役に立つこと」こそが、自分の人生の役割です。
苦手があるから経済が発展する
お金を払うことにマイナスイメージを持っている人は多いですが、
お金を払うということは仕事を生んでいるということに気づくと、
お金に対するメンタルブロックも外れるようになります。
前もどこかの記事で引用した事例を再度利用して説明します。
Aさんは1億円もっています。
Bさんの所持金はゼロですが、家を建てる技術を持っています。
Aさんが1億円でBさんに家を建ててもらうよう依頼しました。
そうすると、Bさんは1億円の現金を手に入れることになります。
それに対しAさんは1億円の不動産が手に入るので、
お金を使うことによって1億円の価値が倍に増えたことになります。
ここまでが前回の記事でお話しした内容です。
実はAさんはお金を払うことによって、Bさんの仕事を作り出しています。
もしAさんに家を作る技術があったとするならば、
Bさんの仕事は生まれなかったことになります。
僕たちは自分で解決できないことにお金を使います。
自力でなんとかなることにお金を使う人はいません。
もし、あなたが完璧な人間だったならば、
世の中の人々の仕事を生むことはできません。
仕事を生み出すというのは社会貢献です。
あなたが完璧な人間なら、自分でケガや病気を治療できるから医者はいらなくなります。
自分で髪の毛を切れるから美容師はいらなくなります。
ビジネスも完璧にできるからコンサルタントもいりません。
スマホも自分で作れるし、飛行機を自分で操縦することもできます。
英語がペラペラだから通訳の存在価値もありません。
世の中完璧な人間ばかりになったら、経済が回らなくなります。
人間は「人類」という広い概念の中でバランスを取っています。
野生動物のように一匹狼で生きていくことができない生き物です。
完璧な人間ばかりになったら、世の中一匹狼だらけで「人類」として成り立たなくなります。
誰かの役に立つ喜び
多くの偉人たちが口を揃えて言っていることがあります。
それは「人間とは誰かの役に立ったときに幸せを感じるようにできている」ということです。
ほとんどの人は経済的成功こそが幸せだと思っていますが、
実際に経済的成功を手に入れた人々は、そこに幸せがないことを経験しています。
人生の目標がなくなり、一種の燃え尽き症候群になってしまう人もいます。
人間は自分が満たされるようになると、他の人に与えたいと思うようになります。
そして無条件で与えることこそが、本当の喜びであるということに気づきます。
与えることは尊い行いですが、
与える行為をさせてあげることも同じぐらい価値があります。
あなたも誰かの役に立ってその人に感謝されたら嬉しいですよね?
それが自分の得意なことでその人が苦手なことだったらなおさらです。
つまり、短所があることによって、人生最高の喜びを与える手助けをしているということです。
実社会では、感謝がお金という形に変換されています。
だから自分が感謝されていることに気が付いていることを自覚しづらいです。
お金をもらっているということは、
世の中の役に立っていて人から感謝されているということです。
「私は単純作業しかできないので誰の役にも立っていません」
と思う人がいるかもしれません。
でも、世の中には単純作業が苦手な人もたくさん存在するのです。
もしそういう人ばかりになったら、
スーパーから食品が消え人々の生活は成り立たなくなることでしょう。
単純作業ができるということも立派な長所です。
でもそれは「単純作業が苦手」という人がいるからこそ価値があるのです。
完璧じゃないから素晴らしい
日本の教育制度は長所を潰し、短所を伸ばそうとするシステムになっています。
すべての人間をフラットな状態にすることが善とされています。
長所を潰すことだけでなく短所を消そうとすることは、人類にとってもマイナスなのです。
個人の時代になった現代社会では、時代の流れに逆行しているとしか思えません。
人間は完璧じゃなくてアンバランスだからよいのです。
イチロー選手は野球がうまいからいいんです。
もし彼が野球以外のことが人並み以下だったとしても、
誰も彼のことを価値のない人間だと思わないでしょう。
(実際そんなことはないでしょうが)
仮にあなたが1つのこと以外てんでダメだったとしても、
その1つが突き抜けていればそれでいいんです。
完璧になろうとすればするほど苦しくなります。
長所も短所も自分に与えられたギフトです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。