人間が他の動物と大きく違う点は、
人間には皆それぞれの物語が存在するということです。
こんな言い方をすると気取っているように聞こえるかもしれませんが、
「物語」とはその人の歴史だけではなく世界観も含まれています。
わかりやすくいうと、世界をどのような眼鏡で見ているかということです。
ネガティブな物語の中に生きる人々は、
何を見てもマイナスに解釈をします。
愛と感謝の物語の住人もいれば、
嫉妬や憎悪の物語に住む人たちもいます。
それぞれの物語では常識が全く違います。
人間関係でいざこざが生じるのは、
他人の物語を認めない・受け入れないことから始まります。
誰だって、自分の人生の歴史や価値観を否定されたら嫌な気分になるものです。
でも我々は同じ時空間を共有しているがゆえに、
他人のことを「同じ世界の住人」だと勘違いしてしまっているのです。
人生は物語である
人生とはまさに物語そのものです。
どういう場所に生まれ、どういう幼少期をすごし、
誰と出会い、何者として生きるのか。
自分の力ではどうにも変えることのできない宿命と、
自分の決断によって変えることができる運命の集合体が物語です。
あなたは物語の主人公として「あなた」という人間の舵を切ってきました。
そして主人公であると同時にストーリーテラーでもあります。
自分の人生の物語を自分の選択によって作り上げてきたのです。
物語には教訓がある
日本で物語といえば「むかしばなし」が有名ですが、
むかしばなしはどれも教訓があることにお気づきでしょうか?
大抵の場合は、「悪いことをしたら自分の身に返ってくる」とか、
「清く正しく生きるとよいことがある」といったような道徳的教訓です。
人々は物語によって学ぶのです。
「○○したら褒められた(怒られた)」というのも物語による学びです。
聖書にはアダムとイブの話がありますが、
あれなんかも教訓そのものですよね。
犯罪に手を染めてしまう人などは、
悪の物語を聞かされてきたからそうなったのでしょう。
そこには「悪こそ正義である」という教訓があります。
(彼らは自分の正義を悪だと思っていませんが..)
僕たちの持つ物語にも当然教訓が存在します。
うまくいったこと、うまくいかなかったこと。
うれしかったこと、かなしかったこと。
そこには何かしらの学びの源泉があります。
自分がどういう人間かを知りたければ、
自分の物語を観察すればわかります。
同じ物語をもつ人間はいない
仮に家族であったとしても、
まったく同じ物語を持つ人間はいません。
自分の人生がうまくいかないのを環境のせいにしてしまうことがありますが、
すべては自分自身の選択によってもたらされた結果であって、
環境のせいではありません。
「環境のせいだ」という思考パターンそのものが、
人生がうまくいかない根本原因であることをまずは自覚する必要があります。
AさんとBさんがまったく同じ環境で生まれ育ったとしても、
2人が同じ人生を歩む可能性は極めて低いでしょう。
置かれた環境のは同じでも、その環境の中で選ぶ選択が違うからです。
自分の兄弟とまったく同じ人生を歩んでいるという人はいないでしょう。
我が家で言えば、兄と僕は真逆の人生を歩んでいます。
生まれ育ったのは同じ環境であったにもかかわらず、
価値観や考え方が違うからです。
だから選択が異なり、その選択によってもたらされる結果も違うわけです。
つまり、環境ではなく本人の選択によって人生という物語が作られているということです。
物語は変えられる
暗い映画ばかり見ていたら現実世界まで暗い気持ちになりますよね。
明るい気分になりたいのに暗い映画を見続ける人はいないでしょう。
人生も同じで幸せになりたいのであれば、
幸せな物語の住人になればいいだけです。
その方法は簡単で、「自分の心構えを変える」だけです。
心構えを変えるだけで世界の見え方が変わってきます。
今まで反射的にネガティブな反応を示していたものに対して、
冷静に客観的に見れるようになってくるのです。
今の人生を変えたければ今の物語を読むのを止めることです。
どんな物語も途中でだいたいオチが予想つきますよね?
そしてその予想はほぼ的中します。
人生という物語も、
「このまま読み進めればどういう結末になるのか」
という予想は何となくつきます。
そして、大抵の場合その予想通りの結末になります。
他人の物語を認め受け入れる
物語はその人が一番大切にしているものです。
それを否定すると相手は心を閉ざしてしまいます。
場合によっては悲しみや怒りに発展することだってあります。
僕たちは異なる物語の住人です。
他人が読んでいる物語に「その話いいね」と言ってあげることができたら、
きっとその人はあなたに心を開いてくれることでしょう。
まとめ
コロナウィルスというイベントは、
我々人類の物語に共通して起こった出来事です。
でも、その出来事に対してどういう「あり方」を選択したかは、
ひとそれぞれ違うはずです。
同じ出来事を共有する機会こそ、
自分の物語を見つめ直すチャンスです。
他人の在り方を見て、自分の物語が変化する可能性があるからです。
僕たちの肉体が滅びた後、この世に残るのは物語だけです。
すなわち「どういう人生を歩んだか」という生き様です。
その物語が後に続く人々の指針となるのです。
人類が発展したのは「物語を受け継いできたから」に他なりません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。