今年は何人かの知り合いが日本へ本帰国した1年でした。
シンガポール時代の同僚と知り合いの2名、
カナダで唯一友達になったカナダ人と日本人の夫婦、
そして今日、ベトナム時代の仲間が日本へ本帰国しました。
Facebookの投稿で知りました。
今は連絡を取り合う関係ではありませんが、
年が近いのもあり当時の同僚の人たちは皆仲が良く、
戦友とも呼べる信頼関係がありました。
僕がベトナムに住んでいたのは今から10年前。
彼は僕が働き始めてしばらくしてから赴任したので、
10年間ベトナムにいたことになります。
当時の同僚が皆ベトナムから離れていく中、
彼ひとり最後まで残って頑張っていました。
これで当時の仲間は誰もベトナムからいなくなったわけです。
Facebookの投稿(今の彼の同僚の書き込み)に貼られていた動画を見ると、
僕がいた当時の同僚たちや支店長も彼にメッセージ動画を送っていました。
僕はその会社を離れたので部外者になりましたが、
その人たちはまだ同じ会社で働いているみたいです。
動画の映像を確認する限り、
当時の仲間たちもそれぞれ別の国で頑張っているようです。
僕が働いていたころ、
まだベトナム支店は黎明期でした。
本帰国した彼の多大なる尽力のおかげで、
今ではベトナム全土に支店を拡大するほどまで、
会社も成長したようです。
彼は駐在員として日本から派遣されてきましたが、
おそらく今回の本帰国は会社からの辞令ではなく、
彼自身の意志によるものだと思っています。
10年前、彼と一緒に働いていた頃が
ついこの間のことかのように懐かしく思えます。
当時のことを思い出しちょっと感傷的な気分に浸っていた1日でした。
10年前、僕が初めて海外移住したのがベトナムでした。
某大手旅行会社の現地スタッフとして
ホーチミン支店に勤務していました。
当時の仲間たちは皆年が近かったこともあり、
とても気の合う仲間たちでした。
毎日のように起こる不測の事態とクレームの嵐。
当時まだベトナムはまったくオーガナイズされておらず、
毎日のようにトラブルが起こっていました。
当時は土曜日も仕事だったので週6日勤務。
しかもオフィスビルがクローズするまで
残業しないと仕事が終わらないぐらいの忙しさ。
唯一の休みも緊急電話当番で、
深夜に叩き起こされお客さんの付き添いで病院に同行したり、
怒り狂ったお客さんの対応に夜中にホテルに出向いたり。
日本人スタッフの退職が相次ぎ、
毎日到着する膨大な量のお客さんを
僕と女性スタッフの2名で回していた時期もあります。
そんなときに日本から赴任してきたのが、
Iさんと他2名の日本人スタッフ。
息つく暇もないぐらい忙しいデスクワークに、
鳴りやまないトラブル発生の電話。
日本人スタッフは皆疲労困憊で限界に近かったですが、
冗談を言い合ったりいたずらをして大笑いするのが、
唯一の息抜きといえる瞬間でした。
当時僕は20代で今よりも尖っていて、
仲間たちと仕事のことで口論になったこともあります。
その中でも一番議論をぶつけ合ったのがIさんでした。
彼の「会社をもっとよくしたい」という気持ちが、
鈍感な当時の僕にも伝わってきました。
東日本大震災が起こったのもちょうどその頃です。
日本行きのフライトがキャンセルになり、
大量のお客さんが足止めをくらい日本に帰れなくなりました。
彼らの宿泊先の手配や
帰国便の振り替え作業に追われる日々。
毎日のように頻発するぼったくりにひったくり。
当時はカードゲーム詐欺が横行しており、
僕の大学時代の後輩(偶然お客さんとして参加していた)も、
その被害に遭ってしまいました。
当時はストレスとプレッシャーで皆ノイローゼ気味でした。
携帯電話(緊急連絡先)の着信音が鳴るだけで、
日本人スタッフ全員がビクっとする(笑)ぐらい、
精神的にも参っていました。
当時はめちゃくちゃ大変でしたが、
ベトナムで過ごした日々は、
僕にとってとても刺激的な経験となりました。
今振り返ると良い思い出です。
ベトナムという国の雰囲気が、
エキサイティングな気分を掻き立てるのだと思います。
あの何とも言えない湿気でモワっとした暑さが懐かしいです。
ベトナムは生きる気力や活気に溢れた国でした。
ネズミが走り回っているような不衛生な市場で毎日ランチを食べたり、
道の上にごった返すベトナム名物バイク渋滞に紛れ毎日バイクで会社に通ったり。
事故に巻き込まれてそこそこ大きなけがをしたこともあります。
ベトナムでの生活は毎日がとても刺激的でした。
当時は新婚間もないころでしたが、
妻も活発で現地のボランティア施設で働いていたりしました。
今考えると「よくやったよなぁ」としみじみ思います。
苦労が多く大変な日々でしたが、
毎日必死だったからこそ、
今になって振り返ると
良い思い出に感じられるのだと思います。
毎日惰性で生きていたらおそらく記憶にも残らなかったはずです。
そんな状況で10年間も頑張ったIさんは本当にすごいと思います。
(彼はその後支店長にまで昇格したようです)
もう当時の苦労は二度としたくありませんが、
ちょっとだけならあの頃に戻ってもいいかなと思った1日でした。
Iさん、10年間本当にお疲れさまでした。
これからの人生も陰ながら応援しています。
また世界のどこかでお会いできるのを楽しみにしています。