スコトーマという言葉をご存じでしょうか?
スコトーマとは「盲点」という意味でもともとは眼科の医学用語でしたが、その後心理学においてよく使われるようになりました。
スコトーマは必ずしも視覚情報の盲点に限られているわけではなく、心理的盲点も含まれています。
信じられないかもしれませんが、人間は視界に入ってきたすべての物が見えているわけではありません。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
実際にやってみるとわかりますが、ある1点に視線を集中するとそれ以外のものが見えなくなります(視界には入っている状態)。
この見えなくなった部分が盲点、すなわちスコトーマです。
心理的盲点
盲点というのは目に見えるものだけでなく、目に見えないものに対しても生まれます。
わかりやすい例を挙げるとするならば、「嫌いな人の良いところが見えなくなる」」というものがあります。
「嫌い」という1点に意識をフォーカスすることにより、その人のマイナスな部分しか見えなくなるということです。
どんな人間にも長所と短所は必ずあるのだから、客観的な視点で見れば必ずその人のプラスの面も見えるはずです。
にもかかわらずマイナスの面しか見えないということは、プラスの面が「盲点」となり、見えなくなってしまっているということが言えます。
思い込みが強い人はこのスコトーマが生まれやすい傾向があります。
何事も決めつけて判断するので、自分の意に反するものは見えなくなってしまうためです。
コインの裏と表
コインに裏と表があるように、すべての人や出来事はプラスとマイナスが必ずセットになっています。
長所も見方によっては短所になるし、
短所も捉え方次第では長所と呼べることもあります。
この世の中に完璧な人間など存在しません。
人生がうまくいっている人を見たとき、僕たちはその人の輝かしい部分しか見えませんが、その人にだって人に言えないようなコンプレックスや失敗が必ずあります。
コインの裏を見ているとき、表側は見えなくなります。
そしてコインの裏を見るか表を見るかの判断は、僕たちに委ねられています。
ニュートラルな視点で物事を見るためには
人間関係において客観的に相手のプラスとマイナスの両面をみるためには、一つ高い視点から物事を見る必要があります。
これを抽象思考と言います。
主観的に相手のことを見ているとき、僕たちの視野は「自分」という視点からしか見ることができません。
これでは相手の一部分しか見ることができません。
この視点を一つ高いレベルにあげることにより、「私から見たあなた」ではなく、「あなたと私」という両者を俯瞰して見ることができます。
そうすると、相手だけでなく自分のことも客観視できるようになります。
自分の視点からでは、木を見ることはできても森を見ることはできません。
森を見るためには上空から見下ろす必要があります。
一部分だけ見ていても全体は見えるようになりません。
人間関係も同じです。
主観というフィルターを外したときに、相手の全体像が見えるようになります。
パラダイムシフトが起こる
スコトーマが外れると物事の見方が180度変わることがあります。
そこには今まで見えていなかった「気づき」があり、その気づきこそがパラダイムシフトを起こすきっかけになります。
パラダイムシフトが起こると、見える世界がまったく別物に変わります。
同じものを見ていても「見える世界」が人によって違うのは、人それぞれ異なるパラダイムの中で生きているからです。
不幸な人が不幸な理由
「私は不幸なんです」という人がなぜ不幸になるのか、ここまでくればもうお分かりだと思います。
自分に起きた出来事の不運な部分しか見ていないからです。
人生を不運という断片でしか見ていないから、人生の良い部分がスコトーマになって見えなくなっているということです。
だから連続して不運な出来事が起こる(ように思える)んです。
「どんな出来事にもプラスとマイナスがある」と頭でわかっていたとしても、
とてもプラスに解釈できないような大きな出来事が起こることがあります。
そういう時は、自分の視点を一段高いところまで上げてみてください。
人生という時間軸を上から見下ろす感じです。
今という視点からまっすぐにその出来事を直視すると、マイナスな部分しか見えません。
高い視点から人生を見下ろしてみたとき、「その出来事は短期的に見るとマイナスだが、長期的に見るとプラスになる」ということがわかるはずです。
望まない出来事が起こった時、「なんでもかんでもプラスに解釈しなさい」というのはちょっと無理があります。
そうではなくて、「視点を上げることによってニュートラルな視点で物事を見る癖」をつけることが重要です。
ニュートラルに物事を見ることができれば、必ず良い面と悪い面が両方見えるので、意識しなくてもプラスの解釈ができるようになります。
人生とは習慣の総体である
人生とは習慣の総体です。
「どういう習慣を持っているかによって人生は決まる」といっても過言ではありません。
普段から感謝をすることが習慣になっている人は、「感謝できる物や出来事」が見つけやすくなります。
そして、感謝に意識がフォーカスしているので、ネガティブな出来事がスコトーマ(盲点)となり見えなくなります。
つまり、プラスの面を見る習慣を持っている人は、マイナスな出来事に遭遇しなくなるということです。
実際にはマイナスの出来事が起こっているのですが、それをネガティブに解釈しないのでマイナスの出来事として認識しません。
この状態になったら人生バラ色ですね。
人生に起こることがいいことばかりになるわけですから。
実際にその境地に到達するのはかなり難しいですが、
普段から感謝を心掛けていれば少しずつ近づくことができます。
人生にはいいことがいっぱいあります。
でも悪い面しか見ていないから、盲点になって見えなくなっているだけです。
そして、その盲点を作っているのは自分自身です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。